平成21年4月、県立邇摩高等学校を卒業した2人。若者の多くが都会へと旅立っていくなか、地元での就職を選択。そんな2人にインタビューしてみました。

働く。『地元志向』〜山下聡美さん、大隈秀征さん

山下聡美(やましたさとみ)さん

平成2年6月生まれ(19歳)/大田市三瓶町野城出身/両親、祖母、妹(高2、小5)、弟(中2)の7人暮らし/社会福祉法人仁摩福祉会「特別養護老人ホームしおさい」勤務

介護職に就いたきっかけは?
幼い頃からお爺さん、お婆さん子で、お年寄りの役に立つことをしたいと思っていました。また、母が高齢者介護の仕事をしている影響もあると思います。
介護の道に進もうと、邇摩高校に進学し、介護のコースを選択しました。

大田で就職した理由は?
福祉専門学校への進学も考えましたが、頭で学ぶより、身体で学ぶ方が自分に合っていると思い、地元就職を決めました。何よりも慣れ親しんだ大田で、家族や友人に囲まれ、希望していた介護の仕事ができることが一番の理由です。

就職して8ヶ月が経過しましたが?
高校時代の実習とは違い、今は一人ひとりの利用者に深く関わります。当初は戸惑いもありましが、職場のみなさんのご指導・ご支援のおかげで、今ではそのことが『やりがい』と感じるようになりました。心を閉ざしていたお年寄りが、徐々に心を開いてくれるようになったときはとても嬉しく思います。
若者の多くは都会へ旅立ちますが?
学生は、自由な時間が多くありますが、自分はまとまった休みも取れないため、うらやましく思うこともありました。しかし、『やりがい』のある仕事をして、自らの生活費は自分で稼いで、自立した生活をしていると思うと今の暮らしに充分に満足しています。

休みの日は何をしていますか?
友人とおしゃべりをしたり、買物に行くのが楽しみです。大田では、ファミレスやカラオケBOXで過ごすことが多く、出雲にも買物・食事・映画鑑賞などに出かけます。特に、24時間自由に集うことができるファミレスはなくてはならない場になっています。

大田について思うことは?
大田は今のままがいいです。無理に都会化しなくても、慣れ親しんだこの街が過ごしやすい。
大田に望むことは、バスの便が悪いので弟(大田一中在学中)の通学送迎を家族の交替で行っています。公共交通の便が良くなると非常に助かります。

【取材後記】
大田市の若者の都会志向が根強いなかで、自分のやりたいことを真摯にみつめ、着実に将来に向けて歩みを進めている山下さんの生きる姿勢に好印象を持ちました。大田の街で集う場が必要不可欠との話を聞きながら、都会とは違った大田流の交流の場を多様に創出する必要性を強く感じました。そして、「大田っていい街だよな」と改めて実感できたことが大きな収穫となりました。

 

働く。『地元志向』〜山下聡美さん、大隈秀征さん

大隈秀征(おおくまひでゆき)さん

平成2年10月生まれ(19歳)/大田市久利町出身/両親、祖母との4人暮らし(兄2人は市外へ転出)/島根中央マルヰ株式会社勤務(LPガス、高圧ガスを中心に関連機器の販売等)

仕事は?
9月から営業担当の地区(久利・大屋)を任されています。それまでは上司の手伝いをしていました。
ガスメーターの検針、請求書の作成、集金をひと月のサイクルとしてほとんどの家を回っています。

大田で就職した理由は?
高校に入学したときから、卒業後は就職すると決めていましたが、大田に残ると決めたのは3年生の時。何か地元の役に立ちたいと考えていました。

都会への憧れはなかった?
周りの人から「都会は遊ぶところ」と聞いていたので、都会で就職して暮らすということに魅力を感じていませんでした。

嬉しかったことは?
こちらからは特に用事はなかったのですが、お客さん宅に立ち寄った際に「用事がなくても顔を見に来てくれてありがとう」と喜んでいただいたことです。

入社して8ケ月が経過しましたが?
会社の先輩に恵まれたと実感しています。自分が困っている時にお客さんのところに一緒についてきてくれたり、わからないことは、詳しく教えてくれます。先輩から教えていただいた『常にお客さんのことを第一に考えて行動する』ということを肝に銘じています。自分も早く先輩のようにお客さんから信頼され、喜ばれるような社員にならなければと思っています。

大田について思うことは?
まず人柄が良いと感じます。海が綺麗で三瓶山など自然が豊かなところも魅力だと思います。都会に出た若い人達が大田に戻って、就職し、もっと活気のある街になっていくことを望みます。

【取材後記】
第一印象は純朴な青年。大田の良いところは?の質問では、すかさず「人柄」と答えるあたり、本当に「大田の人」が好きなんだなぁと感じさせ、地元の役に立ちたいという言葉もストレートに伝わってきます。彼なら久利・大屋の人達だけでなく、大田市全域の皆さんの喜ぶ顔を演出できるのではないかと思わせる人柄でした。取材後も第一印象に変化はありません。このような若い人達の雇用の場を創出していかねばと改めて強く感じました。


この記事は「どがなかな大田市です!!」Vol.14(2010年2月発行)に掲載されたものです。
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