カナダからIターン、おおだへUターン!?
Steve Johnsonさんと妻の良実(よしみ)さん

英語指導助手(ALT)として大田市に赴任され、いつの間にか8年間も大田市に…。そんなスティーブ・ジョンソンさん(33歳)が、8月にカナダへ帰国されました。
今回は、大好きな『大田』への熱い思いを伺いました。

 

なぜ大田へ

私が大田を選んだのではなく、ALTとしての赴任地が偶然にも大田だったのです。
ALTの派遣組織に登録する人の大多数は、都会への赴任を希望しますが、私は田舎を希望しました。なぜなら、私が生まれ育ったカナダのアルバータ州は大自然に囲まれ、私自身、自然が大好きだからです。
私はカナダの大学を卒業後、半年かけてカナダを横断する旅に出ました。旅から帰って半年間は地元で体育教師をやりました。その経験や冒険好きなこともあり、日本でALTをやろうと思いました。

来日当時の大田の印象は

皆さん親切で、おもてなしの心が素晴らしいと感じました。
私が外国人だということもあるのかもしれませんが「何か困っていませんか?」と声をかけられることが多く、本当に親切にしていただきました。
今にして思うと、日本の作法がわからない私に、皆さんが優しく教えてくれたのだと思います。
また、大田の自然は素晴らしく感動しました。
私の実家は、海まで何千キロと遠くにありますが、大田はすぐそこに海があります。また、車で30分も走れば三瓶山などの素晴らしい山々があります。これから、自然豊かな大田で暮らせることにワクワクしていました。




久手小学校での授業風景

色々な人との出会い

スポーツが大好きで、カナダではアイスホッケーをやっていましたので、日本でも何かやりたいと思っていました。
2年が過ぎた頃、偶然、天領太鼓の演奏を見て「やってみたい!」と思い、すぐにチームへ入れてもらいました。
和太鼓は、音楽をやりながらスポーツもできる、まさに音楽とスポーツの融合で、こんな経験は初めてでした。太鼓を続けるうちに、和太鼓はただ単に音楽ということではなく、太鼓を通じて様々なメッセージを発信できることに気づきました。世界遺産になった石見銀山遺跡も太鼓を通してPRすることができました。
また、ALTとしての出会いもたくさんありました。先生たちと石東駅伝に出場したことがあります。仕事だけの関わりではなく、プライベートでも交流することができ楽しかったです。ランニングメンバーと、久手港から三瓶山頂まで走ったことも今では懐かしい思い出です。
その他、シーカヤックや自転車などでも交流の輪は広がりました。私はスポーツを通じて人とつながることが多かったと感じています。


シーカヤックで豊かな自然を満喫!

カナダからIターン、おおだへUターン!?

何度も登った三瓶山の山頂での1枚

 


天領太鼓メンバーとして見事な演奏を披露

田舎が好き!!

都会は便利ですが、大田のような美しい海や山はありません。私は都会に行くとビルの立ち並ぶ景色や、汚れた空気などで気分が悪くなるこがあります。きれいな景色や、空気は生きる原動力です。私は便利さよりも自然が素晴らしいまちが住みやすいと感じます。
また、私は自転車が好きで、小学校へ授業に出掛ける時は自転車を利用することがあります。
広い大田を自転車でくまなく回りました。自転車に乗っていると、車では気づかない感覚を得ることができます。小さな花や虫に気づいたり、自然の香りや温もりを肌で感じたりすることができるのです。ゆっくり進むことで人間的な感覚が得られることが何よりも大切だと思います。

日本(大田)人へのススメ

日本人は勤勉で「仕事が全て」という人が多いように感じます。先進諸国では休暇を2〜3週間取るのはあたり前です。休むことは決して悪いことではありません。身近にある自然と関わる休日を、家族や友人と楽しんではどうでしょうか。スローライフで身も心も共に充実すると思います。

大田に住むには

一般的に「大田には働く場所がない」と言われています。しかし、大田に必要な仕事はまだまだあると思います。
それは、私自身が小学校のALTを始めた時に感じました。それまで小学校へのALTの派遣は行われていなかったのですが、「より早い段階で英語に馴染んでもらえれば」と思い、小学生にも教えるようになりました。今では小学校の低学年にも英語が浸透してきたと感じています。
「大田には仕事がない」とあきらめるのではなく、様々なキャリアを持つ人たちが大田にこそ必要な仕事を生み出せば、もっともっと仕事はあるはずです。

最後に…

大田から離れることが決まった時、「スティーブなら都会に行けばキャリアを活かせる仕事がいくらでもあるよ」と言われました。
それは私のこれからの生活を心配して言ってくれていることは良くわかりますが、私は大田に住みながら仕事をするのがベストなのです。大田以外のところに住もうと思わないのは、大田の人、自然、文化が大好きだからです。私にとって大田は第二のふるさとなのです。
私はまた大田に帰りたいと思っています。その時はどんな仕事をして、皆さんとどんな関わりを持てるかわかりませんが、とりあえず一時帰国します。そして、さらにパワーアップしたスティーブになって、大田のみなさんと再会できることを楽しみにしています。
 

  SEE YOU!!


この記事は「どがなかな大田市です!!」Vol.16(2010年10月発行)に掲載されたものです。
記事の内容は掲載時点の情報です。