高齢者など、地域住民が楽しく、生きがいを持てる活動を そして、地域の活性化につなげたい! 毎週水曜日、土曜日の朝8時前、久利町の県道沿い、「くりの里産直市場」には、出荷した野菜を陳列する高齢者、そして、安くて新鮮な野菜を求める住民がにぎやかに集います。大田町から石見銀山のある大森町に向かう県道46号沿いに今年の2月、産直市が出来ました。久利町内の住民が手作りで作り上げた産直市「くりの里産直市場」です。 久利町の状況 大田市久利町は、市の中心部の大田町と世界遺産・石見銀山の町、大森町との中間に位置する人口約1400人あまり、世帯数540世帯の中山間地域。町内には信号機は1台もありません。久利町の農家のうち約8割が兼業農家で、高齢化比率が30%を超え、急速な高齢化、担い手の大幅な減少などが顕著になってきています。特に今から30年あまり前の昭和50年代には地域のミカン(甘夏柑)団地が冷害で大打撃を受け、それ以降、農業に対する意欲がなかなか盛り上がらない状況でした。 地域に活力を! このような地域の状況を少しでも克服しようと、昨年7月に地域住民による、手作りの産直市実行組織である「くりの里産直市場」を立ち上げました。当初は、まちづくりセンター前にテントを2張り設置して、毎月1〜2回産直市を開催してきました。今年に入り会員手作りの施設を主要県道沿いに設置、現在では、毎週1回土曜日(夏季は週2回)の開催までこぎつけることができました。会員数は立ち上げ当初の約40世帯から現在では65世帯にまで増え、これまでは自家消費が主であった畑で、産直市に出荷するための野菜作りに精を出す高齢者も増えてきました。 くりの里を運営・支援するメンバー前列左から3番目が川上典夫会長、その右隣が森山護副会長 高齢者も元気と喜びを! 毎回の出荷を楽しみにしていますと話す、竹下鈴江さん(久利町・82歳) 野菜を出荷する、地元久利町の竹下鈴江さんは「今日は、なす、きゅうり、ピーマンなどを出しました。電動車で行き来していますが、少量の野菜でも出荷でき、生活に張りが出て、毎日を元気に過ごせています。絵手紙や切り絵などの展示もあり、ここに来るのを楽しみにしています」と話すなど、売上金は小額でも、収穫から次期への生産に向け、張り合いや元気を引き出すことが出来ています。また出荷の際には親子や夫婦、また会員同士で協力しながら活動し、会話も増えるなど、「くりの里産直市場」の立ち上げにより生産者のやりがい、生きがいが生まれ会員同士の交流も活発になりました。 県の支援も後押し! 久利まちづくりセンターでは、今年度から3年間、「産直市を通じた高齢者の生きがいづくりと交流による地域力の再生」をテーマに島根県の『「地域力」醸成プログラム』事業に選定され実践活動を行うこととなりました。この事業では「くりの里産直市場」の皆さんと連携を図り、久利町に元気を呼び戻すことを主眼に、高齢になっても産直市への農産物の出荷を続けられるような支援を行うことで生きがい、やる気など、明るいまちづくりと、仲間づくりを目指しています。また、野菜の栽培技術習得や鳥獣害対策の研修会の開催、産直市場は町民の絵手紙など文化活動の発表の場、交流の拠点としてサロンのような役割を果たすことを狙いとしています。 ミニギャラリー(産直市施設内) 久屋小児童による俳句住民による絵手紙や仏像切絵などが順次展示されています 地域力醸成プログラム「人づくり」の拠点である公民館(まちづくりセンター等)が培ってきた「地域力」のノウハウを、中山間地域の抱える課題解決に向けた具体的な活動により実証しようとする県の支援制度。久利まちづくりセンターは、平成23年度、モデル公民館等として島根県から選定を受け今後3年間活動を行うものです 安くて新鮮な野菜 鳥獣害対策研修の様子 地元石見銀山テレビからの取材 施設隣地でのひまわり種まき ひまわり開花 【お問い合わせ】久利まちづくりセンター 0854-82-5572 この記事は「どがなかな大田市です!!」Vol.19(2011年10月発行)に掲載されたものです。記事の内容は掲載時点の情報です。