地域でがんばる3人の方々をご紹介します

大田市温泉津町は、アムスメロンや西条柿の産地として知られています。生産者のみなさんは、温泉津町特産物促進協議会を組織し、長年にわたり生産と販売振興に尽力してきました。しかし、近年は少子高齢化や担い手不足等から、同協議会も産地縮小の恐れが出てきています。この状況を何とか克服しようと、昨年からUIターン者の方々を対象とする研修生受け入れを図り、産地の維持拡大に向けた取り組みを始めました。メロンの栽培技術の習得に向け、地域でがんばる3人の方々をご紹介します。


相馬正人さん(47) 東京都出身
昨年12月から研修中の相馬さん。飛び込みでやってきた
初めての土地で、農業技術習得に向け頑張っています。


・島根の最初の印象をお聞かせください。  
島根のみなさんは温かい人が多いと思った反面、冬の寒さには驚きでした。

・何か心配したことは?  
縁もゆかりもない人を受け入れてくれるかどうか、大変心配しました。

・島根を選んだポイントは?  
サラリーマン時代、たまに島根の方とお話することがあり、よい印象を持っていました。また、UIターン希望を全市町にメールしたところ、大田市が最も早く、また親切に対応していただいたのも決め手となりました。

・将来の目標は?  
農業を中心に暮らしていけるようになれば、私も都会からUIターン者を受け入れていきたいと思います。

・UIターンされる方へのメッセージをどうぞ  
人々の食卓を支える農業、自然が相手で経験が頼りの世界です。「正しい道を選択した」と思えるよう、今は研修を頑張っています。やればできると信じています。みなさんもいかがですか。



殿山正記さん(45)           殿山裕子さん(43) 
神奈川県出身
昨年の就農相談会ツアー参加がきっかけとなり、平成25年2月から研修中です。

・島根の最初の印象をお聞かせください。  
昨年のツアー参加時に、みなさんの温かさや優しさを感じることができました。

・何か心配したことは?  
やはり冬の寒さでしょうか。でも、今年は心配していた雪が少なくて助かりました。

・島根を選んだポイントは?  
農業やメロン栽培には、以前から興味を持っており、就農の手がかりを探して東京の「日本橋しまね館」を訪問したことです。1か月経たないうちに就農相談会ツアーがあり、早速申し込みました。

・将来の目標は?  
できれば、メロンのトロ箱栽培で生計を立てて行きたいと思います。

・UIターンされる方へのメッセージをどうぞ  
こちらに来てから、天気が気になる生活が始まりました。肉体的なつらさにもなれつつあります。視点を変えれば、地元にはいいところがたくさんあります。UIターン、ぜひご一考を。


メロンを養液栽培で生産

相馬さん、殿山さんが取り組んでいるのは、メロンを液肥で栽培する栽培技術の習得です。これは、島根県農業技術センターが開発した技術で、温泉津特産協では平成21年から導入を進めています。漁業者が魚を入れる容器(通称:トロ箱)にヤシガラなどの培地を敷きつめ、液肥を流して栽培することから、「トロ箱栽培」とも呼んでいます。

 トロ箱栽培の利点
・土壌由来の病気が軽減  
 地面と接していないので、土壌由来の病気の軽減を図ることができます。
・作業労力の軽減  
 トロ箱栽培では耕運、うね立てなどの作業が必要ない
 ため、作業時間が大幅に削減されます。


「トロ箱」へメロンの定植作業

 温泉津では、これを利用して従来の年2作からメロンを年2回、冬にはレタスを収穫する年3作を実現し、地元のほか山陽、関西方面にも出荷しています。


受け入れ農家さんの横顔 ~温泉津町特産物促進協議会~


メロン栽培40年
藤田文男さん

 初めての土地で農業に取り組む相馬さんや殿山さんとお話すると、かつての記憶がよみがえります。
 40数年前のこと、いざ就職となった私は、和歌山のみかん農家で働くことを決意。単身、住み込みでの農作業が始まりました。あの時の経験が、その後の人生の糧になっています。
 私が受け入れ農家を引き受けたのも、お世話になったみかん農家さんに近づきたい気持ちがあるからかもしれません。

 農業は健康が第一ですが、何より好きでないとで続けられません。勤務時間が決まっているわけではなく、時には天候に裏切られることも…。自分で判断し、行動することが求められますが、そこが面白いところだと思います。研修生のみなさんは「やる気」を持ってきています。よい結果がでるよう、期待しています。

 みかん農家さんとは、生産者同士、今でもよいお付き合いをしています。研修生の方々を始め、人との縁は大切なものだと感じています。

温泉津町特産物促進協議会とは?

温泉津町特産のアムスメロンと西条柿の生産者で組織する団体で、藤田さんは会長を務めています。温泉津町の特産振興を図るとともに、安定した生産体制の構築や、新たな販売先を開拓しています。


この記事は「どがなかな大田市です!!」Vol.24(2013年6月発行)に掲載されたものです。記事の内容は掲載時点の情報です。