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大田市では若者の市外流出が人口減少の一因となっていましたが、近年、若者のUターン者も増加傾向にあります。その中で大田市にUターン後、頑張っている三人の若い力をご紹介します。 

パン屋を経営する竹下美紀さん(33)、お米の生産をしている藤原章子さん(40)、そして今年、大学を卒業し実家の酒蔵に入社し、蔵人、営業として働いている浅野理可さん(23)の三人の方に対談していただきました。

Uターンの理由

浅野 お酒の香り等が好きでお酒の勉強がしたくて東京の大学へ進学しました。なので、高校の時に将来は後を継ぐと決めていました。ただ会社を継ぐのではなく、将来は杜氏としてお酒造りに携わりたいと思っています。まだまだ男社会なので、それが会社としての話題になるとも思っています。

竹下 なかなか高校で将来のことまで決められないから凄いね。

浅野 いつ頃パン屋になろうと決められたのですか?

竹下 大学卒業後は広島でパンとは関係のない会社でOLをしていたんだけど、楽しくなくて。このままOLを続けることに疑問を感じて「そうだ!パン屋になろう」と思ったの。東京で夜間の製パン学校に通ってパン屋になりました。

藤原 凄い行動力! 私も最初からこの仕事をしていた訳ではないです。当時、還暦を迎えたばかりの父が企業参入で農業をしようと言い出したんです。

浅野 お父さん凄い!

藤原 経理を手伝っていたのですが、父が病気をして営業ができなくなって、代わりに私が営業するしか無いと思い始めました。そこで出会った人との関係がとても楽しくて、父が元気になった後も積極的に手伝っています。また、この仕事をすることで地元三瓶のコシヒカリが本当によいものだと実感しています。

大田市の魅力

竹下 大田市はリピーターが多い気がするな。毎日来てくれるお客さんも沢山いて、中には店内で食べて行かれる人も。そういったお客さんが話しかけてくれて、それがとても嬉しいんです。

浅野 私も東京から大田市へ帰ってきて、人と人との関わりが濃いということを改めて感じました。大田市の人は始めて会った人でも誰かの知り合いであったりして、気さくに話しかけてくれる。それが田舎ならではの魅力だと思う

竹下 お互い挨拶するのが当然の環境って、実は凄いと思う。子どもも凄く挨拶してくれる。

藤原 今、竹下さんと取引をしているのも、美紀さんを知った知人からパンを作れる人が帰ってきたという話を聞いたから。人との繋がりは大切なんじゃないかな。

竹下 私が店を出す時にも、周りが凄く世話を焼いてくれた。自分では何もしていないのに周りがお膳立てしてくれて、大田にはそういう色々してあげたいと思っている人が多いのが魅力だと思う。

藤原 旬のものが回りにあることも大田の良さだと思う。今はスーパーでいつでも何でも手に入るけれど、地元で採れた旬のものを食べられる環境というのは贅沢だと思う。

これからの将来像

藤原 竹下さんは、米粉以外に大田のものを使っているの?

竹下 意識しなくてもほとんど大田のものを使ってるんです。大田にある店だから買ってくれるのは大半が大田の人。だから、大田の人が食べたくなるような商品を 作って大田の人にPRしていきたいな。

藤原 私はこれからお酒やお酢みたいに何か加工品を作って、もっと三瓶のことを知ってもらいたい。ところで、三瓶のコシヒカリでお酒は造れるんですか?

浅野 普通、日本酒は酒米を使うのですが、今、コシヒカリを使って日本酒を造っているところもあるんです。酒米を用いるよりもクセがありますが、ファンも沢山います。ちょうど、社長にコシヒカリを使ってお酒を造りたいという話しをしていたところだったんです。これから、女性はきれいなお酒が好きという先入観にとらわれずにあえてこういった雑味のあるお酒も勧めていきたい。ファーム浮布さんのお米でいつか必ず、お酒を造りたいです。

藤原 是非お願いしたいです。

竹下 これが本当に実現したら凄いよね


この記事は「どがなかな大田市です!!」Vol.25(2013年10月発行)に掲載されたものです。記事の内容は掲載時点の情報です。