年々、水稲生産者が減少し休耕田が増える中、5年前から米づくりに挑戦している若者グループがいます。『ひとりではなかなかできないことも仲間が一緒ならできる。今の自分たちにできることは何か』そんな思いから動き出した若者たちを紹介します。

平成15年、仁摩町の原田勲さんを中心に仲の良かった同級生の3人で、「田んぼを荒地にしてあそばせておくのはもつたいない。自分たちで米をつくつてみよう。農業をやってみたい!」という熱い思いから米づくりに挑戦し始めました。今は原田さん、仁摩町の林真さん、大田町の宮原勝さん、森川真博さんの4人で活動しています。
現在、4人とも平日は仕事で忙しいですが、その合間の夕方・夜や休日を利用して米づくりに精を出しています。

水稲生産者がだんだんと減ってきている中で、最初の年は作付面積が25アールくらいでしたが、1年で倍になり今では約2.4ヘクタールにまで広がりました。5年の間に作付面積が約10倍になり、当初の「もっと作付面積を広げたい」という目標を見事達成することができました。これも、「原田さんの祖父千代徳さんや周辺で稲作をしている方が親切にアドバイスをしてくれ、サポートしてくれるからこそできている」と原田さんは話します。

最近は、米づくりに興味のある知人の女性たちが出雲市から参加し、一緒になって田植えや稲刈りをしています。きっかけは、原田さんたちが米づくりをしている話をしたところ、以前から稲作経験があり、米づくりに興味があった女性たちと話が盛り上がり、田植えや稲刈りの時期に合わせ、都合をつけて米づくりに参加することになったようです。
女性たちも、乗用田植機を運転したり、苗を運んだりと、積極的に米づくりに取り組んでいます。「初めは田植機の運転が難しかったんですけど、やり始めると楽しくて楽しくて。自分たちが関わってできたお米だと思うと、食べたとき、やっぱりおいしさが違いますね!」と秋の収穫を心待ちにしています。
収穫の際には、先に少し刈っておいた米を炊き、できたてホクホクのごはんにアツアツのカレーをかけ、参加者全員でカレーライスをいただき、労をねぎらいます。来年もまた頑張ろうと…。

また、ウルチ米の他にモチ米も作っています。年末には収穫したモチ米を使い、家族や知り合いの方を集め餅つきをします。普段は目にすることのない石臼と杵を使っての「餅つき」に子どもたちは大喜び。数ヶ月かけて作られたモチ米が、蒸す・つく・こねるの工程を経てお餅ができるということを知りながら、正月のお雑煮をおいしくいただきます。

今年で6年目となり、今までの米づくりを振り返りながら、今後について尋ねると、「以前に比べると作付面積が広がって、4人で作業をするのはしんどいと思うこともあるし、正直、田植えの春から稲刈りの秋にかけては休みもない。けど、やっぱり好きだからやっていて楽しいし、安心して食べることができるものをこれからも自分たちでつくりたいなと思っています。
メンバーそれぞれの思いは違っているけど、今後も人が作っていないもの、やっていないことをやっていきたいですね。失敗もするとは思うけど」と笑顔で語り、原田さんたちの挑戦はこれからも続いていきます。
秋(9月上旬〜10月中句頃)には稲刈りを行いますので、興味がある方は仁万田台へ気軽に足を運んでみてください。


この記事は「どがなかな大田市です!!」Vol.9(2008年6月発行)に掲載されたものです。
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